話は、私が生まれる前、1972(昭和47)年6月まで遡ります。

既にその前から、土地購入の話は進んでました。そしてこの月、購入が成立しました。

しかし、事情は複雑でした。

まず、その土地は農地であるということ。
そのため、農家ではない我が家では直接地権者として登記出来ないのです。
なので、“仮登記”という形で農家所有の土地の二次的所有者のような形式で登記がなされました。

その後、更に事情が複雑に。

1975(昭和50)年、都市計画法開発許可制度の改正により、市街化調整区域(要するに、市街地拡大を抑制し緑地の保全を図る区域)となってしまったその土地は、農家でない私たちの手では家を建てることも住むことも出来ない、動かすことの出来ない土地となってしまったのです。
一体、何のために購入した土地なのでしょうか。

それ以降、土地に対しては何も出来なくなりましたが、母親は何とかこの問題について解決を図るべく、土地名義人と何十年にもわたり連絡を取ってきましたが、糸口が見えないまま名義人はお亡くなりになり、息子さんに相続されました。ますます当時の状況が不透明になるばかりです。
母親はそれでも諦めず、地方自治体に出向いては交渉をしたり、弁護士に相談したり、相続人と連絡を取ったり、共同購入者と今後について話し合いを行ってきました。

あれから数十年・・・。

2006(平成19)年11月、開発許可制度が改正されました。
それにより、市街化調整区域としての規制が緩和されました。
我が家にもたらされた恩恵は、農家でなくても家屋が建てられるようになったこと。

でも、もうその必要は無くなっていました。

今住んでいる所から200メートルほどの所には、郊外型大型ショッピングセンターやホームセンター、大型電器店が林立しています。
もうわざわざそんな田舎の地に移住する必要は無いのですw

母親は土地名義人と交渉し、土地を購入してくれる不動産を探し回りました。

そして今日、土地売買契約が成立し、土地の売却が完了しました。

母親の執念にも似た根気には、ただただ感服するばかりです。
そこから学んだことは、「とにかく諦めないこと」。
母親のエピソードは、この他にも更に歴史を遡るものがあります。それについては、また後日。

(ナレーション: 加藤みどり)